100年夢庭日記

築100年超の古民家に住む猫のつぶやき

大いなる遺産

先日亡くなった女優、八千草薫さんの世田谷にある三億円豪邸が泣く泣く取り壊されたネットニュースを見て、同居人はいろんなことを考えたんだって。ちなみに、八千草さんの命日は隣人の誕生日。

八千草さん自身は、生前そのおうちをできるだけそのまま残したかったらしい。それに、お庭も。そのお庭には桜や金木犀が植わっていて、メダカやおたまじゃくしが住んでいる池もあったんだって。八千草さんの旦那さんは既に亡くなっていて、きょうだいも子どももいなかったから、三人の親しい知人に遺贈してその思いを託したんだって。

それで、最初その人たちは個人で買ってくれる人を見つけて、その売却額から相続税を払う作戦をたてたけど、コロナ禍でそれだけの物件をポンと買ってくれる人がなかなか見つからなくて、そうこうするうちに数千万円の相続税の納期が迫ってきた(しかも、法定相続人以外だと2割増し!)から、やむを得ず不動産販売業者に売却したんだって。そしたら、その業者は土地を小分けにして少しでも売りやすくするために、すぐに更地に…

生前から自分亡き後のおうちの行方に真剣に思いを巡らせて、一生懸命お庭のお手入れもして、自分がとりうる最善の方法を模索・計画したはずなのに、その思いがかなわず、全てなくなってしまうなんて…八千草さんがその更地を見たら、きっと絶句しちゃうだろうな。思いを託された知人たちも、きっと複雑な気持ちだろうし。池に住んでいたメダカや生き物が保護されたのが、せめてもの救い。

都会の高級住宅地では、土地代が高いから相続税もバカ高くなって、相続人が大変な思いをするというのはよくある話。同居人が気になったのはそこじゃなくて、自分の切実な思いを自分じゃない人がどこまでわかって、どこまで遂行することにこだわってくれるか?ということ。

ちょうど同居人も、八千草薫さんと同じような遺言書を書こうと思っていたから、なおさらなんだって。ただし、同居人の場合は、個人に遺贈するんじゃなくて、福祉施設に遺贈するつもりらしいけど。ちなみに、八千草さんもはじめは世田谷区に寄贈することも考えたけど、「更地なら」と回答されて断念したらしい。大切な場所を残したいと願う人と、更地にしてほしいと思う人がいるということ…

それにしても、古民家暮らしとか、こまめなメンテナンスの必要性とか、庭のお手入れの大変さとか、色んな生き物に遭遇することとか、そういうの全てを丸ごと慈しんでくれて、その場所を真剣に残そうと思ってくれる人って、この世界にどれだけいるんだろう?

その場所が末永く愛されるためにできることは、少しでも暮らしやすく普通の人でもお手入れしやすいように家や庭を整えることと、生前からその場所をニーズのある人たちに開放して使ってもらう(その場所を必要とし愛してもらう)ことが大切だと考えている同居人。はたして同居人の計画はうまくいくのか?できれば願いが叶うといいけど、それは神のみぞ知る、だね!

 

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