100年夢庭日記

築100年超の古民家に住む猫のつぶやき

箪笥の世界

同居人はここのところずっと、着物や帯や小物類を収納できる和箪笥を探してるんだって。新品で買うと、安くても十数万円、高いものになると百万円を軽く越えてしまって鼻血がでるほどお高いので、中古のものをあれこれ見てまわってるんだけど、見ればみるほど奥が深いらしい。年内には決着をつけて、今床に置かれているお着物たちを綺麗に収納して、スッキリと新年を迎えたいんだって。

ところで、同居人は去年、蔵から出てきたボロボロの桐箪笥を、箪笥職人さんに頼んで修復してもらったらしいよ。その時の修復代は10万円。それだけお金をかけるなら、新品の箪笥を買った方がお得だったかもしれないけど、蔵から出てきた箪笥だからこの家の歴史にかかわる古いものってことだし、どうしても修復したかったらしい。じゃあ、その箪笥にお着物入れたら?って思うんだけど、既にそこには色々な物を入れちゃったから、今回はお着物専用の箪笥として新しく買いたいんだって。

桐箪笥や和箪笥で一番有名なのは、新潟の加茂箪笥で、色白で上品な佇まい。その他、東北~北陸地方にかけての産地を見てみると、岩谷堂箪笥や仙台箪笥、米沢箪笥、二本松箪笥、庄内箪笥、加賀箪笥、三国箪笥、越前箪笥は、漆塗りで重厚な鉄の金具がアクセントになっていて、全体的に渋い感じ。この古民家に合うのは、きっと渋い感じかな~と思いつつ、東北の箪笥の中でも金具がとても繊細でモダンな印象の佐渡箪笥にも惹かれている同居人。他にも、紀州や江戸、大阪、京都をはじめ全国にたくさんの和箪笥の産地があって、それぞれ特徴があるんだって。

それに、下に車輪のついた車箪笥や、船の中に持ち込んだ小型で堅牢で装飾的な船箪笥、階段型の階段箪笥、たくさん引き出しがついた薬箪笥や帳場箪笥など、着物を入れるには引き出しが小さいけど、同居人が惹かれる箪笥がいっぱいあるんだってさ。ダイニングの水屋箪笥は、前のオーナーさんから同居人が譲り受けたもの。「この子(箪笥)はここにいた方が幸せだから」って言われて、ありがたく頂戴したらしい。

ところで、箪笥の歴史は基本的には江戸時代からで、明治・大正・昭和にかけて量産。つまり、歴史としては案外新しいらしい。ただし、岩谷堂箪笥は平安時代後期から地場産業として作られていたとか?箪笥が普及する前の時代には、庶民は行李やつづらに衣類を収納していたらしい。ちなみに、この家の蔵にも、行李や長持が置いてあるけど、まだ修復はしてないんだって。

さて、すっかり和箪笥の魅力にとりつかれている同居人。良い箪笥との出会いが、たくさんありますように!

 

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蔵から出てきた箪笥その①

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蔵から出てきた箪笥その②

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毎年我が家に勝手に生えてくる桐?