同居人がこの家に移住して来た時に奥の床の間に飾ってあったのは、大きな水墨画の掛け軸。前のオーナーさんがそのままにして置いていったものなんだけど、以来、掛け軸の世界が気になって古道具屋さんやオークションで見てまわるようになったらしい。
いずれは春夏秋冬、季節ごとに気に入った掛け軸を床の間に飾れたらなぁ…と思って、少しずつ気になる掛け軸を買い集めているらしいんだけど、同居人が「これっ!!」って思ったものは高かったり、仕事が忙しくてオークションに思うように参加できなかったりしているらしい。お金がないと買えないから仕事はしなきゃいけないんだけど、思い切り仕事をしてるとゆっくり掛け軸をみたり買ったりができなくて、なんだかもどかしいらしい。
昨日も、22時過ぎに終わるオークションのことはわかっていたけど、同居人は仕事に集中していて、結局なにもしないうちに誰かに落札されちゃっていたらしい。ちなみに、昨日落札しそびれた作品というのは、西村五雲氏が描いた、カボチャを噛っているネズミの掛け軸。さすが西村五雲先生、小さなネズミの描写が素晴らしくて、なんとも可愛かったんだって。秋に床の間に飾れたら、きっと素敵だったのにね。
そうやってこれまで逃してきた掛け軸がいっぱいあって、普段はあまり過去に引きずられない同居人だけど、掛け軸に関してはついつい逃した作品を思い出してしまうらしい。中でも、平福百穂氏の、牛を引く人物が描かれている作品は、作品の中に降る雨の音がリアルに聴こえてくるくらい引き込まれるものがあったんだって。
まだまだ興味のつきない掛け軸の世界…これからも良い作品とのご縁がありますようにと願う同居人。何かを手放せば何かを新たに得るともいうからさ、まあ、過去のことはドンマイ!