100年夢庭日記

築100年超の古民家に住む猫のつぶやき

『人新世の資本論』が面白い

同居人は時々上司から本を渡されるらしいんだけど、それがどんどん溜まっていって、その中には昨年末から上司に借りっぱなしの本があったんだって。その名も『人新世の《資本論》』。これは、マルクスの『資本論』と晩年のマルクス研究を手がかりに、気候変動や格差社会などをはじめとする地球規模の行き詰まり感や生きづらさを打破すべく、既存の資本主義にかわる新たな「脱成長コミュニズム」の可能性を模索してて、この手のお堅い本にしては珍しくベストセラーになってるらしい。コロナ禍に戦争が加わって…何かと先が見通せない不安感を感じていた同居人。ついに今日、一気読みしたらしいよ。

脱成長コミュニズムの柱は、以下の5つ。①使用価値に重きを置いた経済に転換して、大量生産・大量消費から脱却する、②労働時間を短縮して、生活の質を向上させる、③画一的な労働をもたらす分業を廃止して、労働の創造性を回復させる、④生産のプロセスの民主化を進めて、経済を減速させる、⑤使用価値経済に転換し、労働集約型のエッセンシャル・ワークを重視する…そこに、人類の明るい未来があるかもしれないんだってさ。

著者はまだ若い日本人の研究者なんだけど、今社会ではやっているSDGsも、現代における「大衆のアヘン」だと切って捨てていて、当初から何となくぼんやりとした胡散臭さを感じていた同居人としては胸のすくような感じがしたし、新進気鋭の研究者ならではのとんがったカッコ良さを感じたらしい。

それだけじゃなくて、エコバッグや電気自動車など、現在の大量生産・大量消費のグローバル資本主義経済のシステムを維持し根本的な問題から目を逸らしたままの「現実逃避」を私たちがし続けるその間にも、どんどん地球規模の破壊や人類の危機が進行していくと警鐘をならしていて、理論社会学の研究者の机上の議論を超えて、何か社会に訴えたい危機感や熱意のようなものを感じたらしいよ。

だけど、一方では、人間の自然状態とされる「万人の万人に対する闘争」や「ファシズムの台頭」など、明るくない未来の姿を見ることの方が圧倒的に多いこの頃。別に悲観論者ではないけど、脱成長コミュニズムなんて実現するのかな?そして、人類に明るい未来なんてくるのかな?って思った同居人なんだけど、物事は人類100%じゃなくて人類の内の3.5%の人の行動力で大きく変わる可能性があるらしいよ。にゃるほど!

 

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さくらもちとイチゴ、すごくいい組み合わせだったらしい。

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3.5%かあ…